ボバースコンセプトとは?

ボバース夫妻の肖像イラスト
ボバース夫妻の肖像イラスト

1940年代 ロンドンのボバース(Bobath)夫妻(神経学者の夫カレル ボバースと理学療法士の妻ベルタ ボバース)によって考案されたリハビリテーションの考え方(概念)で、脳などの中枢神経系が傷害されることによって生じる姿勢や運動の障害を神経生理学的に分析し、また、ヒトが新生児から1歳前後までに示す姿勢や運動、知覚や認知の発達過程を基に、発達学的考察を取り入れた先進的なリハビリテーション治療の概念およびそれに基づくリハビリテーション治療、援助のことです。

現在も世界中で中枢神経疾患(大脳や小脳、脊髄の病気)の患者さんのリハビリテーション治療に応用、実践されています。

ボバースの治療に対しては、「ボバース法(Bobath method)」・「ボバースアプローチ(Bobath approach)」・「ボバース概念(Bobath concepts)」などさまざまな表現をされていますが、ボバース概念、ボバース・コンセプトと捉えるのが適切だといえます。

これは、ボバース夫妻自身の「多種多様な患者や、また同じ患者でもその日その日の状態にあわせて、毎回最良のリハビリテーション治療を提供するためには、画一的な方法論は存在しない。」という考えに基づいています。
 ですから、彼ら自身が「ボバース法」ではなく、「ボバース・アプローチ」・「ボバース概念」という名称を提唱しています。

現在、正式には、主に成人の脳卒中片麻痺患者さんに対して行われる援助を「ボバース概念に基づく治療(神経学的リハビリテーション)(Neurological rehabilitation based upon the BOBATH concepts)」、脳性まひなど発達障害を伴っている中枢神経疾患の患者さんに対して行われる援助を「神経発達学的治療(NDT:Neuro Developmental Treatment)」と定義しています。

ボバース夫妻は1991年に他界されましたが、その後も世界中の多くの後継者たちによって、継承、さらに発展を続けており、英国ロンドンのBobath centreと並んで、「ボバース記念病院(大阪市)」「森之宮病院(大阪市)」がボバース概念の中心的な役割を担っています。

もともとは中枢神経疾患のリハビリテーションに応用・実践されている評価・治療、その他の支援の基になる考え方ですが、実際には広く患者さん・利用者さんやご家族、またその人たちの生活を的確に捉え、より効果的に支援するために非常に有益な概念です。

当ステーションではリハビリテーションに限らず、ボバースコンセプトを取り入れ、より質の高い訪問看護サービスの提供を目指しています。