本誌初執筆の言語聴覚士 萱澤成行(かやさわまさゆき)と申します。言語聴覚士にはあまり馴染みがないかもしれませんが、主に言語の訓練や嚥下の訓練をする専門職です。

これから誌面でも少しずつ言葉や嚥下などのことについてお伝えできればと思っておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。

今回はまず手始めに九官鳥⁇のお話を(笑)

私は小さいとき、九官鳥を飼っていました。なんとかおしゃべりをさせようと毎日一生懸命ことばを教えましたが、なんとか覚えたのは「おはよう」のたったひとこと。

それ以降、私を見れば朝夕を問わず、気さくに「おはよう」と語りかけてくれるようになりました。っが、静かにしてほしい時でもお構いなし、しかしそれはそれでまたとてもかわいいものでした。

その時には何も疑問に思いませんでしたが、 そもそも、九官鳥を含めたインコ、オウム等はなぜ人のことばを話せるのでしょう?

それには、大きく3つの理由があると言われています。

1.ヒトと近いのど、口の形をしている

(特徴的な点として直角に曲がった咽頭、分厚くコントロールの利く舌 等)

2.優れた聴覚を持っている

3.ヒトの音声に興味を持っている

鳥より高等な脳を持つサルがヒトのことばをまねできないのは、のどの形が音声を出すのに不向きで、ヒトの音声に対して興味が薄いからだと考えられています。

さて、飼っていた九官鳥ですが、あの「おはよう」の声はもちろん話の内容や状況を理解して言っているわけでなく、単に音を真似しているだけです。

集団で生活する鳥では仲間同士で特有の声を真似てコミュニケーションをとるものがありますが、飼われている九官鳥は他の鳥と接することが少なく、人間を仲間、特に求愛相手とみなし声を真似てコミュニケーションをとろうとしているのです。

なので、集団で生活する鳥では人のことばを真似することはないといわれています。

そう考えれば、飼っていた九官鳥はことばの意味こそ理解はしてはいなかったものの、そこには「求愛」という意味があったと考えられます。  「求愛…」。

十分すぎる好意をもって「おはよう」と語りかけてくれていたのだなぁと今さらながらに気づかされたのでした。

言語聴覚士 萱澤成行